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猫の慢性腎臓病に対する自然療法

猫は体格の割りに腎臓のネフロン(腎臓の最小単位の構造物)の数が少なく、マウスなどに比べて腎臓病になりやすいといわれています。また、腸と腎臓は、他の器官に比べて細胞内のミトコンドリアが多く、老化による機能低下が一番起こりやすいのです。

また、ドライフードのみ、あるいはドライフードをメインで食べていると慢性的な脱水が起こります。脱水状態になって体内の水分量が減ると、血液の量も減ってしまい、腎臓への血流が低下します。

そして、腎臓への血流が低下した状態がずっと続くと、尿細管の細胞が酸欠状態に陥り、やがて細胞が死んでしまい、急性腎障害が起こります。軽い急性腎障害であっても、繰り返すことで、どんどん腎臓が悪くなり、やがて慢性腎臓病に陥ります。

猫では、この慢性的な脱水による軽度の急性腎障害の繰り返しが、原因不明の慢性腎臓病の一番多い原因ではないかと、私は考えています。

それから、食事からのリンの摂りすぎや、歯肉炎や口内炎の口腔内細菌の免疫複合体の影響、腎臓の細かい血管(細動脈)がAGE(終末糖化産物<Advanced Glycation Endproducts>)によって硬化していくことなども腎臓病の一因です。AGEは、ドライフードに多く含まれ、老化や発がんなどの様々な病気の要因となっています。(アクリルアミドはおそらく発癌性のある超悪玉AGEです。)

治療には、主にホモトキシコロジーのお薬を数種類組み合わせて使用し、場合によっては、ホメオパシー漢方薬も使います。

また、必要に応じて、リン吸着剤、処方食、脱水がある場合は皮下補液、貧血がある場合は増血剤も併用しています。

当然ですが、クレアチニンの数値が低いほど、治療効果が期待出来ます。

特に気を付けていただきたいのですが、猫の腎臓病では多尿によって慢性的に脱水していることが多く、そのような場合は、静脈点滴や皮下補液などで脱水を十分改善してあげないと、ホモトキシコロジーが効果的に作用しないことが多いです。

ホモトキシコロジー製剤による治療の臨床的な検証・根拠につきましては、実地試験が複数行われており、その有効性が確認されています。

ホモトキシコロジーによる治療例

ソマリ 18歳
 2018年3月: BUN42 Cre2.3 ホモトキシコロジーによる治療開始(週2回)。処方食は食べず。皮下補液無し。この時点で12歳です。
 2022年4月:BUN42.6 Cre2.5 ホモトキシコロジーによる治療継続中(週2回)。処方食は食べず。皮下補液無し。
 2023年9月:BUN71 Cre3.4 ホモトキシコロジーによる治療継続中(週2回)。処方食は食べず。自宅での皮下補液開始。
 2024年2月:18歳になられました。お誕生日おめでとうございます。食欲、元気ともに旺盛。ホモトキシコロジーによる治療継続中(週3回)。処方食は食べず。肉を含めて食べたいものを食べている。脱水の状態をみながら、自宅での皮下補液継続中。

猫 6歳
      治療前    治療後
   BUN 113.9  →   47.1
   Cre   4.7  →    3.5
このネコちゃんは、皮下補液を併用しています。

猫 14歳  
      治療前    治療後
   BUN  43.4  →   28.3
   Cre   2.7   →    1.9
このネコちゃんはホモトキシコロジーによる治療以外、皮下補液などの西洋医学的治療は何もしておられません。

猫 18歳
      治療前    治療後
   BUN  56.8  →   45.6
   Cre   3.0  →    2.7
このネコちゃんもホモトキシコロジーによる治療以外、皮下補液もしていません。皮下補液を併用すればもっと数値は下がると思いますが、今の状態で元気食欲共にあり体重も維持できているので保護者の方とご相談に上、ネコちゃんのストレスを考慮して、今のところ皮下補液は行っておりません。
2年半このような状態を維持できており、治療後の値は最新のものです。現在、腎臓用の処方食と高齢猫用のフードを混ぜて食べておられます。

猫 20歳
      治療前    治療後
   BUN  102.0  →   42.3
   Cre    4.7  →    3.2
このネコちゃんは当クリニックでの治療を開始して4年ほどになりますが、元気に暮らされておられます。

猫 6歳
      治療前    治療後
   BUN   33  →   30
   Cre   2.4  →    1.9
このネコちゃんは、ホモトキシコロジーの他に、アミンアバスト(当クリニックで販売中)というアミノ酸のサプリを併用しています。

猫 シャム系ミックス
2016年12月15日ホモトキシコロジーにて治療開始 BUN37、Cre3.1
2017年9月21日 BUN36.9、Cre2.8
2018年 体調良好、治療継続
2019年3月 BUN37.9、Cre2.9 4月で15歳になりました。

猫 19歳
2014年4月糖尿病発症→インシュリンと自然薬の併用にて糖尿病の治療開始
2016年9月SDMA22→ホモトキシコロジーにて治療開始
2017年10月BUN33.4、Cre2.2
2018年4月BUN29、Cre1.9
2020年12月BUN42.3、Cre1.99
糖尿病も患っているということを考慮すると、本当に良く頑張ってくれていると思います。

以下は10年以上の長期維持の一例です。
2010年9月(7歳) 腎臓病発症 BUN35.8、Cre2.6 ホモトキシコロジー開始
2011年9月 BUN23.1、Cre2.0
2012年6月 BUN21.9、Cre1.8
2013年9月 BUN31.9、Cre1.3
2014年4月 BUN21.7、Cre1.7
2015年7月 BUN19.1、Cre1.4
2016年7月 BUN17、Cre1.4
2017年7月 BUN20、Cre1.5
2018年6月 BUN19、Cre1.1
2019年8月 BUN25、Cre1.4
2020年9月 BUN56Cre2.3 皮下補液併用開始
2021年2月 BUN53.3Cre1.4 
    11月(18歳)BUN27.9、Cre1.3 治療継続中


患者様のご感想

8歳 ミックス(治療開始時BUN76.4Cre4.59P6.1)※皮下輸液、リン吸着剤併用
使用をはじめてから1か月が経ちました。点滴等だけでは限界を感じていたところ、非常に効果を感じる治療に出会えました。
血液検査はしていませんが、食欲と元気をバロメータにしています。


お住まいの近くの動物病院で、血液検査や点滴などの従来の西洋医学的な治療をしてもらって、自然療法の部分のみを当クリニックで行っておられる患者様もたくさんおられます。

治療をご希望の方はご予約の上、ご来院下さい。
また、ご遠方であったり、ご愛猫が通院を極端に嫌がったり、体調が悪すぎて動かせないなど、何らかのご事情で直接ご来院できない場合は、まず電話(オンライン)カウンセリングをお受け下さい。その後、ホモトキシコロジーなど必要なものをお送りさせていただきます。


犬猫の慢性腎臓病に対する国際的なガイドラン
https://www.javnu.jp/guideline/iris_2016/index.html


以下は人間向けの動画ですが、腎臓の特性や腎臓病について参考になると思います。














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