なぜ、問題行動を起こす子が増えているの?
 人間の子供も、ペットも自分の意思を人間の大人のように、うまく言語を使って伝達することができません。私自身がそうでしたが、一番理解してもらいたい人に、自分の意思が伝わっていないと感じたときの気持ちの落胆は表現し難いものです。

 子供たちも、ペットも極端な言い方をすれば、大人たちの管理下に置かれています。つまり、言い換えれば自分たちの思うとおりに生活をしたり、行動を起こすことができないのです。多くの大人たちは、自分が子供のときどんなにもどかしい思いをしたかを、忘れてしまいます。その結果、自分がされて、イヤだったことを子供やペットに対しても、繰り返し(無意識ではあるものの)行ってしまう場合も少なくありません。大人たちは自分たちが疲れていて、彼らの疲れにまでなかなか、心を広げるゆとりがもてないというのが今の社会の現実であろうと思います。

 その結果、ヒーリングや癒し、リラクゼーションということを求める大人は増えましたが、肝心の子供たちやペットたち、大人の管理下に置かれている存在は棚上げされたままになっています。

 もちろん、ご家族が疲れたままでは、決して彼らは幸せで健康ではいられません。私たちがカウンセリングしてきた患者さんご家族の中には、それとは逆にご自身のことは二の次、三の次でペットや子供さんにかかりっきりの方もいらっしゃいます。本当に頭の下がる思いで私たちはお気持ちを受け止めさせて頂いています。しかしながら、彼らにとってそれは本当の幸せではないのです。大好きな人が、自分のために疲れ切ってしまうことを、彼らは決して望んではいません。むしろまず、お母さんが、お父さんが、お兄さんが、お姉さんが、幸せになってもらいたいのだ・・・とペットや人間の子供たちの多くは思っています。もちろん、わがままを言って、ご家族を困らせることもあるでしょう。しかしながら、それは愛情を確かめているだけであって、本気でご家族を翻弄させようとか、疲れさせようとしているわけではありません。むしろ、共に幸せでありたい、共に健康に生きていきたいと願っているのです。

 ペットや子供たちの中にも、アニマルコミュニケーションを通じて、彼らの気持ちを聞くと「ボク(私)のことはいいから、お母さんが幸せになって」と願う子もいます。でも、私たちはそれもある意味違うのでは?と感じるのです。お互いに、幸せや健康を願うこということは本来、循環し拡大していかなければ、本当の愛とは呼べないのではないだろうか?と感じるのです。私たちのクリニックの名前にもなっている「プレマ」とは、サンスクリット(凡)語で「愛」を意味しますが、いわゆる恋人同士などの「愛」とは違います。本当の愛は、双方間だけに留まるものでなく、周りに波及し、拡大していくものだと、私たちは捉えています。

 そのためにはまず、自分を大切にし、相手のことも同時に思いやる心を持つことでしょう。そのどちらかがかけても、本当の幸せはありません。なぜなら、他虐的な人(なんでも、つい人のせいにしてしまったり、他人に対して批判的・攻撃的な人)は同時に、その言動が自分自身をも傷つけていることに気付いていません。そして、自虐的な人(何でも、自分のせいだ、自分が悪いと思い込んでしまう人)は同時に、他人を無意識に傷つけていることに気付いていないからです。なぜなら、魂の結びつきというものは、元々大元では「自分」「他人」といった区別がありません。思いは鏡の反射のようにはね返りますし、キヤッチ・ボールをするかのように、無意識に投げ掛けた言葉・思い・行動は、他人に投げ掛ければ自分に、自分に投げ掛ければ他人へと波及してしまいます。


 問題行動が発生するのは、先天的な脳や神経に問題がある以外は、もちろん日常の何らかの問題の蓄積もあるかと存じますが、それが根深いものほど、多くは授乳期から幼少期にかけて、身体の発達と同時に、心の発達がめまぐるしい時期に、何かしらのトラウマを受けるようなことがあったか、何らかの理由で社会性が充分養われなかったのいずれかのケースが多いということを、私たちはカウンセリングを通じて経験して参りました。

 私は(問題行動=心の葛藤)だと考えています。脳や神経に異常がある場合を除き、こうした葛藤になっている部分が何であるのかをまず、本人や周囲が気付く必要があります。むしろ、彼らは「助けて欲しい」とサインを送っているのです。それが、表に出た結果、問題行動となっているわけですから、私はこうした行動が表に出る間は、まだ救いはあると思っています。

 自分の感情を抑えてしまい、前足ばかり舐めていたイヌが、ご家族とのカウンセリングを繰り返しものすごく甘えを上手に出せるようになったり、カウンセリングを続けるうち、自分の子イヌたちにまで反旗を翻し、威嚇をしていた父親が受容的態度を取るようになったりといったことを、私たちは見てきました。

 もちろん、食事との関連性もあります。ペットでも食糞をする子は、何らかのストレスを抱えているケースが多いですし、人間の場合でも動物の場合でも、異常に食欲があり、あきらかに肥満してしまっている子の場合、何かしらの敵に怯え、自分を保護するために身体を大きくしていることが、精神的医学上あったりするのです。私のカウンセリングしてきた中でも、先住のネコが、新しいネコが来た途端に太り始めたというケースにも遭遇しました。彼は、新しく来た子に自分のテリトリーを侵されること、家族の愛情の矛先がそちらに向いてしまうのではないことに対して、恐怖を覚えていたのです。

また、人間でも加工食品を多食している子に「キレる」子が多いと言われることがあります。まずそれは、いわゆるカロリー(エネルギー値)が満たされていても、基本的に身体や脳が作動していくにあたって、「栄養不良」になっているからとも言えます。栄養学的にみれば、そうしたものをやめ、バランスの取れた食生活をしましょうということになりますが、問題になってくるのはむしろ「なぜ、加工食品やスナック菓子に手が伸びるのか」ということの方なのです。もちろん、習慣性になっていることも多いですが、やはり「食」は「心の問題」と密接に関わっていることは否定できない事実だといえるでしょう。こうしたことには、全て精神医学的、形而上学的、心理学的なベースが存在しています。それを放置したまま、いくら栄養指導を行っても、一時的には回復を見せるでしょうが、根本的な問題は解決していませんので、何かのきっかけがあれば再発することが考えられます。また、過食と拒食を繰り返すなどの場合は、自分の中にある二面性や複数の問題と答えが存在し、それについて悩んでいる場合によく見受けられます。

当クリニックでは、こうした問題を心身両面から、ご家族と共に考えていきたいと思います。



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